「名義貸し」運営の投資で、知らないうちに当事者にならないために
「特区民泊の認定付き物件を探しています」
最近、私たちFound Nationにも、こうしたお問い合わせが入るようになりました。
そして市場を見ると、個人名義で取得された特区民泊の認定を前提とした賃貸情報が、すでに数多く出回っています。
「認定済みだから、そのまま民泊できます」
「すでに運営会社が入っているので、オーナーは何もしなくて大丈夫です」
「毎月決まった収益が入ります」
一見すると、とても簡単な投資に見えます。
でも、私たちは今、これを非常に危険な流れだと感じています。
なぜなら、
その仕組みが今成立しているからといって、購入したあなたが、そのまま安全に事業を続けられるとは限らないからです。
一番怖いのは「知らずに買う」こと
例えば、あなたが不動産会社から、
「特区民泊の認定が付いています」
と説明されて物件を購入したとします。
あなた自身は、
「行政の認定があるんだから大丈夫」
と思うでしょう。
さらに、
「運営は専門会社に全部任せています」
と言われたら、
「じゃあ自分は何もしなくていいんだ」
と思うかもしれません。
でも、そこで一つ考えてほしい。
その特区民泊の認定を受けているのは誰ですか?
そして、
実際に事業を行っているのは誰ですか?
さらに、
あなたが購入した後、その事業の責任は誰が負うのでしょうか?
ここを理解しないまま購入するのは、本当に危険です。
「運営を任せる」ことと「名義だけを貸す」ことは違う
もちろん、民泊の運営を専門会社へ委託すること自体が問題なのではありません。
予約管理。
ゲスト対応。
清掃。
施設管理。
価格調整。
OTA管理。
こうした業務を専門会社に任せることは、民泊事業では一般的に行われています。
問題になるのは、
誰が事業者として主体的に事業を行っているのか
という部分です。
大阪市の公開された過去の判断では、特区民泊の事業者について、自己の事業として責任をもって主体的に運営し、自己の名義・自己の計算によって滞在者との契約を行う者である必要があるとされています。
また、認定を受ける者と建物所有者・賃借人などが異なる場合には、それぞれの契約関係を踏まえて、誰が主体的に事業を行っているのかを判断する考え方が示されています。
つまり、
「名義人がいるから大丈夫」
ではありません。
もし行政から「あなたの事業は誰のものですか?」と聞かれたら
ここを、投資する方には想像してほしいと思っています。
物件を購入した。
運営会社に全部任せた。
毎月収益だけ受け取っていた。
ところが、行政から運営実態について確認を受ける。
そのとき、
「私は何も知りませんでした」
「前のオーナーからそのまま引き継いだだけです」
「運営会社が全部やっています」
では、必ずしも安心とは言えません。
なぜなら、**「誰が認定事業者なのか」「誰が事業主体なのか」「誰が責任を負うのか」**は、契約書の名前だけではなく、実際の権利関係や事業運営の実態を踏まえて判断されるからです。
だから、
「知らなかったから大丈夫」
と考えて購入するのは危険です。
そして今、大阪市は明らかに動いています
ここが今回、特にお伝えしたいところです。
大阪市は2026年5月29日をもって、特区民泊の新規受付を終了しました。
そして現在は、既存の特区民泊を適正化する方向へ動いています。
大阪市は2026年度の監視指導計画を策定し、重点監視対象施設を2,817施設としています。
さらに、営業実態調査や苦情などをもとに対象施設を抽出し、法令違反が確認された場合には、行政処分を見据えた厳しい対応を行うとしています。
処分として明記されているのは、
- 業務改善命令
- 業務停止命令
- 認定取消
などです。
つまり、
「今まで問題なく営業できていたから、これからも大丈夫」
という考え方は、もう通用しにくくなっていると私たちは考えています。
では、そのとき「誰」が問題になるのか
ここは非常に重要です。
「名義を貸していた人だけが問題になる」
と考えてしまう方がいるかもしれません。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
認定事業者として誰が登録されているのか。
誰が物件を所有しているのか。
誰が借りているのか。
誰が運営しているのか。
誰が滞在者との契約主体なのか。
誰が売上を受け取っているのか。
誰が事業上の判断をしているのか。
誰が責任を負う契約になっているのか。
こうした関係を整理しなければ、「自分はただ物件を買っただけ」というつもりでも、購入後に自分自身が事業の当事者になる可能性があります。
少なくとも、購入前にこの構造を確認しないまま、
「認定付きだから大丈夫」
と判断するのは危険です。
「借りただけ」の人も同じです
これは物件を購入する人だけの話ではありません。
「特区民泊の認定付き物件を借りて、運営会社に任せればいい」
という考え方も同じです。
賃借人として何をしているのか。
認定事業者との関係はどうなっているのか。
運営会社との契約はどうなっているのか。
実際の事業主体は誰なのか。
そこを確認しないまま、
「自分は物件を借りただけだから関係ない」
とは言い切れません。
特区民泊の事業者について、大阪市は「自己の事業として責任をもって主体的に事業運営等を行うこと」を求めています。
だからこそ、借りる場合も買う場合も、
「私はこの事業の中で、何者なのか」
を理解しておく必要があります。
一番危険なのは「投資商品」として買ってしまうこと
私たちが本当に怖いと思っているのは、
「特区民泊認定済み」
という言葉だけが一人歩きしてしまうことです。
不動産情報を見る。
認定済み。
運営中。
売上あり。
運営会社付き。
だったら、
「面倒なことは全部終わっている物件」
に見えます。
でも実際には、逆です。
すでに事業が動いているからこそ、何がどう成立しているのかを調べなければいけません。
認定は誰のものなのか。
運営は誰がしているのか。
契約はどうなっているのか。
その事業者が変わったらどうなるのか。
購入後も同じ運営ができるのか。
行政から見たときに、誰が事業主体なのか。
ここを全部確認する必要があります。
「前のオーナーがやっていた」は理由にならない
中古の民泊物件で特に気をつけてほしい言葉があります。
「前のオーナーもこれでやっていました」
これは安心材料ではありません。
むしろ、確認すべき材料です。
前のオーナーと自分は同じ立場なのか。
認定事業者は変わらないのか。
運営会社との契約は引き継げるのか。
物件を取得した後の事業主体は誰になるのか。
今までの運営実態は適正だったのか。
そして、
その仕組みを自分が引き継いでも、本当に問題ないのか。
ここまで確認して初めて、購入判断をするべきです。
今後1年、特区民泊投資は特に注意してほしい
私たちは、今後1年ほど、この問題は特に注意して見ておく必要があると考えています。
大阪市はすでに新規受付を終了しました。
一方で、既存の認定施設については監視指導を強化しています。
つまり、これからは、
「新しく増やす」フェーズから、
「今ある施設を適正に運営できているか確認する」フェーズ
へ移っていくわけです。
そんなタイミングで、
「認定付きだから安心」
という理由だけで投資する。
これは、私たちはおすすめしません。
むしろ今だからこそ、
「この物件の認定は誰のものなのか」
「この事業の主体は誰なのか」
「もし行政から確認されたら、私は何を説明できるのか」
まで考えてほしいと思っています。
高額な不動産を、「知らなかった」で終わらせないために
民泊不動産は、普通の収益物件とは違います。
不動産だけではありません。
許認可。
建築。
消防。
契約。
運営。
収支。
そして行政との関係。
全部がつながっています。
だから私たちは、
「買った後に調べる」のではなく、「買う前に調べる」
ことを強くおすすめしています。
特区民泊の認定付き物件を紹介されたら、
「認定があります」
という一言で終わらせないでください。
誰の認定なのか。
誰が事業者なのか。
誰が運営しているのか。
誰が責任を負うのか。
自分が買った後も、その構造は適法・適正に続けられるのか。
そこまで確認してください。
「買ってから知らされる」のが一番怖い
不動産は、簡単に買い直せません。
数百万円、数千万円、ときにはそれ以上のお金を投じてから、
「実は、この運営方法には問題があるかもしれません」
と言われても、簡単には戻れません。
だからこそ、私たちは警鐘を鳴らします。
特区民泊の「認定」は、投資の安全を保証するものではありません。
そして、
「今営業できている」ことも、将来の営業継続を保証するものではありません。
まして、
「運営会社が全部やってくれるから、自分は何も知らなくていい」
という投資ではありません。
知らないまま買うのではなく、
自分がその事業のどこに立つのかを理解してから買う。
それが、民泊不動産投資の最低限のスタートラインだと私たちは考えています。
私たちは、「特区民泊の許可付き物件」を扱っていません
現在、私たちは特区民泊の許可付き物件、また特区民泊を前提としたM&Aについては取り扱っていません。
理由はシンプルです。
投資家の方に、今だけではなく、その先まで安心して持っていただける不動産をご提案したいからです。
もちろん、すべての特区民泊が問題だと言っているわけではありません。
また、運営を外部へ委託すること自体を否定しているわけでもありません。
私たちが問題視しているのは、
「特区民泊の認定がある」ということ自体が、不動産の価値や投資の安全性であるかのように扱われてしまうこと。
そして、
その認定を利用した運営スキームそのものに、将来的な不確実性がある状態で投資を勧めることです。
私たちは、そこに投資家の方のお金を預けてもらうことに責任を持てません。
だから、取り扱わない。
それだけです。
「売れるもの」と「買ってもらいたいもの」は違う
不動産会社としては、売れる物件があれば売ればいい。
そう考えることもできるかもしれません。
でも、Found Nationはそういう会社ではありたくありません。
投資家の方にとって、
「買った瞬間が一番良かった」
という不動産では意味がないと思っています。
買った後も事業として成立する。
運営を続けられる。
資産として持ち続けられる。
そして、必要になったときには売却という選択肢も考えられる。
そこまで含めて「良い不動産」だと考えています。
だからこそ、今売れるかどうかではなく、
「この物件を、この人に買っていただいて、本当に大丈夫なのか」
を考えます。
場合によっては、売らない。
場合によっては、紹介しない。
場合によっては、
「これはやめておきましょう」
とお伝えする。
それも不動産会社の仕事だと思っています。
投資家の方に、一番伝えたいこと
今回このコラムを書いたのは、特区民泊を否定したいからではありません。
まして、特区民泊に関わるすべての事業者を否定するものでもありません。
ただ、
「特区民泊認定付き」
という言葉だけを見て、大きなお金を投じる方が増えてほしくない。
それだけです。
今、営業できている。
今、売上がある。
今、運営会社がいる。
今、認定がある。
それだけでは、投資の安全性は判断できません。
まして、制度や行政の運用が変わっていくタイミングならなおさらです。
不動産投資は、「今どうか」ではなく「この先どうか」で考えてほしい。
「知らなかった」ではなく、買う前に知ってほしい
私たちのところには、すでに
「特区民泊の認定付き物件を探しています」
というお問い合わせが来ています。
市場には、そうした物件情報が出ています。
だからこそ、これから投資を考える方には、
「その物件、誰の名義で認定を取っていますか?」
「実際に誰が事業をしていますか?」
「運営会社が変わったらどうなりますか?」
「自分が購入した後も、同じ形で事業を続けられますか?」
と聞いてほしい。
そして、
「もし行政から確認を受けたら、私は何を説明すればいいですか?」
ここまで聞いてみてください。
答えが曖昧なら、一度立ち止まってください。
高額な投資だからこそ、投資家を守る側でありたい
私たちが大切にしているのは、
「一件売ること」ではありません。
その方が、その不動産を持った後も、
「買ってよかった」
と思ってもらえること。
家族と過ごす時間をつくれたり。
事業として収益を生み出したり。
資産として長く保有できたり。
将来、売却や承継という選択肢を持てたり。
不動産を買ったことで、人生の選択肢が増える。
私たちが目指しているのは、そういう投資です。
だからこそ、
今売れるけれど、将来が読めないものは扱わない。
それがFound Nationの判断です。
特区民泊の認定が付いているから安心なのではありません。
「民泊ができる」だけでもありません。
その土地、その建物、その許認可、その運営、その収支、そしてその先まで見て、本当に持つ価値がある不動産なのか。
そこから一緒に考える。
それが、私たちが考える**「民泊不動産」**です。
買うことを急がないでください。
他の会社にも相談してください。
いろいろな専門家の話を聞いてください。
それでもFound Nationに相談したいと思っていただけるなら、私たちは投資家の方の立場に立って、一緒に考えます。
売るためではなく、買った後まで責任を持てる不動産を。